Vitaカタログ No.03|ダンジョンRPGの傑作『デモンゲイズ』レビュー|ウィザードリィ系×エクスペリエンスの集大成

Vitaカタログ

Vitaカタログ No.03|ダンジョンRPGの傑作『デモンゲイズ』レビュー|ウィザードリィ系×エクスペリエンスの集大成

発売日:2013年1月24日
メーカー:角川ゲームス(開発:エクスペリエンス)
ジャンル:ファンタジー・ダンジョンRPG
公式サイト:https://www.demongaze.jp/

「ウィザードリィ系」の伝統を受け継ぐ一作

『デモンゲイズ』は、いわゆる「ウィザードリィ系」と呼ばれるクラシックな3DダンジョンRPGの流れを汲んだ作品です。1マスずつ移動してマッピングを進め、トラップや隠し扉に翻弄されながらもダンジョンを攻略していく。あの緊張感と達成感が、PlayStation Vitaの携帯性と相まって絶妙なゲーム体験に仕上がっています。

キャラクターは自由に雇用・カスタマイズでき、職業や種族の組み合わせ次第で戦術も変化します。RPG好きなら、すぐにこの自由度にのめり込むはずです。

開発は「エクスペリエンス」──ダンジョンRPGの匠

本作を手がけたのは、ダンジョンRPG専門メーカーとして知られる「エクスペリエンス」。同社は『円卓の生徒』『剣の街の異邦人』など、硬派な作品でファンの信頼を集めてきました。

そのエクスペリエンスが、カジュアル層にも門戸を広げるべく挑戦したのが『デモンゲイズ』です。難易度はしっかり歯ごたえがあるものの、キャラクターの会話や世界観には柔らかさがあり、RPG初心者にも安心してすすめられる設計になっています。

デモンを倒して、力に変える

本作の大きな特徴が、タイトルにもなっている「デモン」システム。各ダンジョンのボスであるデモンを倒すことで、その力を「ゲイズ(封印)」して召喚できるようになります。

一度は敵として苦しめられた存在が、やがて味方になるという構図は、王道ながらやっぱりアツい。デモンを戦況に応じて呼び出す戦略性も、本作ならではの味わいです。

拠点「竜姫亭」と仲間たち

探索と戦闘の合間には、拠点となる宿屋「竜姫亭」で準備を整えます。装備の整理、パーティ編成、報酬の回収……そのループの快適さが中毒性を高めてくれます。

また、竜姫亭に暮らすキャラクターたちはどれも個性的。特にフランの無愛想な接客と、時おり垣間見せるやさしさには、不思議な親しみを覚えました。

トロコンのしやすさとやり込み要素

トロフィー取得は比較的やさしい部類で、プレイ時間さえ確保すればコンプリートも現実的です。デモン全撃破、好感度イベントの回収などをこなす必要はありますが、極端に運任せな要素は少なめ。

「アーティファクト」を使ってスキルを付け替える育成も奥深く、装備厳選によるビルドの自由度も高め。ストーリーを終えても、戦略を練りながら遊び続けられるだけの土壌があります。

続編も発売、シリーズは一区切り

2016年には『デモンゲイズ2』がリリースされ、2021年には1作目をベースとしたパワーアップ版『デモンゲイズ EXTRA』も登場しました。

ただ、シリーズとしては『2』以降新作はなく、『EXTRA』が一区切りとなっています。それでも本作の完成度は高く、今なおダンジョンRPG好きの間で名前が挙がるタイトルです。

総評:初心者も熟練者もハマれる、Vitaの名作RPG

ウィザードリィ系の伝統と、現代的な遊びやすさの融合。エクスペリエンスの技術と、角川ゲームスのパブリッシング力がうまく噛み合った一本です。

私自身も、寝る前の1時間が気づけば3時間になっていた──そんな夜を何度も経験しました。ちまちま地図を埋めて、やっとボス部屋を発見したときの緊張感。あの感覚が好きな人には、迷わずおすすめできます。

「携帯機で本格RPGをやりたい」と思ったら、まずこの作品を手に取ってみてください。



© 2013 KADOKAWA GAMES / Experience Inc.

コメント

タイトルとURLをコピーしました