「ディスガイア」や「夜廻」シリーズをはじめ、独自の企画力で個性的な作品を生み出してきた日本一ソフトウェア。岐阜県各務原市を拠点とする中堅メーカーながら、大手にはできない挑戦的な作品を多数リリースしてきました。本記事では、会社の由来や沿革を年代ごとに整理し、代表作や最近の動向を紹介します。
会社概要と名前の由来
日本一ソフトウェアは1993年に設立されたゲームメーカーです。本社は岐阜県各務原市。社名は「日本一のソフトウェア会社になりたい」という創業時の志に由来します。大都市圏から離れた地方を拠点にしながらも、独創的な作品づくりで国内外にファンを広げてきました。
沿革(年代ごと)
1990年代:設立から初期の挑戦
1993年に設立。初期はPCや初代プレイステーション向けの小規模タイトルを中心に開発しました。アドベンチャーやシミュレーションRPGなど、後の代表作につながるジャンルで基盤を築いた時期です。
2000年代:ディスガイア誕生とブランド確立
2002年、『ラ・ピュセル 光の聖女伝説』(PS2)を発売。戦略性の高いシミュレーションRPGとして注目を集めました。翌2003年に『魔界戦記ディスガイア』(PS2)が登場すると、レベル9999や億単位のダメージといった常識外れのやり込み要素が話題となり、同社の看板シリーズへと成長しました。
その後、『ファントム・ブレイブ』(2004)、『ソウルクレイドル 世界を喰らう者』(2007)など、システム面やシナリオで独自性の強い作品を次々と投入。「尖ったシミュレーションRPGの会社」としての地位を確立しました。
2010年代:携帯機と多角展開
PSPやPS Vita向けにも注力し、『魔界戦記ディスガイア3 Return』(2011/Vita)、『ディスガイア4 Return』(2014/Vita)などを展開。携帯機でシリーズを遊べる点はユーザーに好評でした。
2015年にはホラーアドベンチャー『夜廻』(Vita)をリリース。可愛らしいビジュアルと不気味な雰囲気を融合させた新作として話題を呼び、シリーズ化されるほどの人気となりました。
この時期には海外法人「NIS America」を通じて欧米進出も加速。自社作品のローカライズに加え、海外インディーズ作品の日本国内販売も行うなど、多角的な活動を展開しました。
2020年代:Switchとパブリッシャーとしての存在感
近年はNintendo Switchを中心に展開。ディスガイアシリーズは『ディスガイア6』(2021/Switch, PS4)、『ディスガイア7』(2023/PS4, PS5, Switch)を発売し、長寿シリーズとして健在です。
また、日本ファルコム作品のパブリッシングも担い、『イースVIII』『イースIX』『英雄伝説 閃の軌跡』『創の軌跡』などをSwitchに移植。従来はPlayStationユーザー中心だったファルコム作品を新たな層へ届ける役割を果たしています。
代表作紹介
魔界戦記ディスガイアシリーズ
2003年の初代から続く同社の代名詞。レベル上限9999、億単位のダメージ、自由度の高いやり込み要素が魅力です。シリアスとギャグが混ざる独特のシナリオもファンを惹きつけています。PS2からPS5、Switchまで幅広いハードで展開され、シリーズの厚みを増しています。
ラ・ピュセル 光の聖女伝説
2002年発売のPS2用シミュレーションRPG。聖女候補の少女プリアを主人公に据えた物語で、後のディスガイアにつながるシステムを多く採用。シリーズの原点として位置付けられる作品です。
ファントム・ブレイブ
2004年発売。マス目に縛られない自由配置のバトルシステムを導入した意欲作。戦術の幅が大きく広がり、温かみのあるシナリオも高評価を得ました。後年にはSwitchやPS5でもリマスターが発売され、再び注目されています。
ソウルクレイドル 世界を喰らう者
2007年PS2で登場。重厚でダークなストーリーと、プレイヤーの選択によって分岐するマルチエンディングが特徴。コアファンから「隠れた名作」と呼ばれるタイトルです。
夜廻シリーズ
2015年にVitaで登場したホラーアドベンチャー。懐中電灯の光と心音を頼りに進む探索は緊張感に満ち、可愛らしいキャラデザインとのギャップが強い印象を残しました。現在はSwitchやPS4に移植され、続編『夜廻三』も登場しています。
魔女と百騎兵
2013年PS3で発売されたアクションRPG。魔女メタリカと百騎兵を中心とした物語はダークファンタジー調で、独特の世界観が特徴。PS4やSwitchにも移植され、同社の代表的な新規IPとして存在感を示しました。
最近の動向
日本一ソフトウェアは現在もディスガイアを軸に新作をリリースしつつ、パブリッシャーとしての活動を拡大。特に日本ファルコム作品をSwitchへ移植して販売する動きは大きな役割を果たしています。
さらにNIS Americaを通じて欧米市場にも積極的に進出。自社タイトルのローカライズに加え、海外インディーズ作品を日本市場に紹介する活動も行っています。
まとめ
日本一ソフトウェアは「日本一のゲーム会社になる」という志を胸に、地方発の独立系メーカーとして個性派タイトルを多数世に送り出してきました。
2000年代のディスガイアでの飛躍、2010年代の夜廻の成功、そして2020年代のパブリッシャーとしての活動まで、常に新しい挑戦を続けています。
やり込み重視のRPGや独特な雰囲気のアドベンチャーを探しているなら、日本一ソフトウェアの作品群は一度触れてみる価値があります。

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