Vitaカタログ No.02|朧村正【レビュー・評価】和風2Dアクションの傑作をVitaで遊ぶ

〜 手のひらに広がる、絢爛絵巻アクション 〜
『朧村正(おぼろむらまさ)』は、2Dアクションにこだわる職人集団・ヴァニラウェアが開発した剣戟アクションゲーム。2009年にWiiで発売されたタイトルをベースに、グラフィックの高解像度化、UI調整などを経て、2013年にPlayStation Vita向けに移植されました。
一言でいうなら、「とにかく美しいゲーム」。絵巻物のような2D背景、ぬるぬる動くキャラ、妖怪たちの造形……すべてが“見惚れる”方向に突き抜けていて、操作していなくても画面を眺めていたくなる、そんな仕上がりです。
ヴァニラウェアという制作スタイル
ヴァニラウェアは、『ドラゴンズクラウン』『十三機兵防衛圏』など、2D描画の美しさにとことんこだわる開発スタジオです。ゲームシステムよりもまず「絵としての完成度」を高めることに全力を注ぐ独自の作風で、朧村正もその例外ではありません。

いわゆる「ハイエンド3D」とは違う方向で、“手作業の美しさ”をゲームに落とし込んでいる数少ない存在。グラフィックに限らず、BGMやUIにも一貫した美学があり、朧村正はその世界観がまるごと1枚の屏風のように感じられます。
Vitaとの相性が光る理由
- 高精細な2Dグラフィックが有機ELで映える
- ロードが速く、テンポよく遊べる
- 有料DLC「元禄怪奇譚」も配信済みで、さらに物語が広がる
Vitaの有機EL画面(初期型モデル)でプレイすると、このゲームの色彩の深みが際立ちます。和風の赤や金、墨絵のような濃淡の表現が、小さな画面の中で映える映える。アクションの軽快さも相まって、操作していて気持ちがいい。
ゲームシステムの概要
- 2人の主人公を切り替えてプレイ(百姫と鬼助)
- 膨大な刀を収集・強化し、装備を切り替えながら戦う
- 連撃アクションと特殊技を駆使したスピーディな戦闘
どちらの主人公でもプレイ時間は10〜15時間ほど。刀ごとにスキルやスタイルが異なり、ボスの攻撃を見切って斬り伏せる感触は、2Dアクションの気持ちよさを凝縮したような出来です。
ストーリーと世界観
物語の舞台は、妖怪や怨霊が跋扈する江戸時代の日本。百姫は政略に翻弄される姫君、鬼助は謎の剣豪として、それぞれの宿命を背負って旅をします。シナリオは完全に独立しており、視点や語りもまったく異なるため、2周目も新鮮です。
妖しさと哀しさが入り混じるストーリーは、語りすぎず、余白を残してくれる作り。まるで古典の一節を読んでいるような感覚があり、映像表現と相まって独特の“静かな熱”を感じさせます。
基本情報まとめ
- タイトル:朧村正
- Vita版発売日:2013年3月28日
- ジャンル:2D横スクロール剣戟アクション
- プレイ時間:各主人公 約10〜15時間、DLC含めて+α
- 開発:ヴァニラウェア / 発売:マーベラスAQL
総評
『朧村正』は、「携帯機でこんなに美しいゲームが遊べるのか」と感じさせる一本です。画面の小ささがデメリットではなく、むしろ密度を高める方向に働いています。
操作して楽しい、眺めてうっとり、耳にも心地いい。すべてが揃った贅沢な作品です。2Dアクション好きはもちろん、「ゲームでしか味わえない和の美」を体験したい人にもおすすめ。
この「Vitaカタログ」では、次回もまたVitaを象徴するタイトルを掘り下げていきます。
© 2009-2013 Marvelous Inc.
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